執筆をするときの目線合わせは、気を使うものです。
大作家になれば、その味で書けばいいのでしょう。他を気にしない書き方というのが味になって出てくるからです。
しかし、文章の解答がしっかりない場合だってあります。
そういうときは相対的な基準合わせを意識するようにしています。
表現の質をそろえるように
表現の質をそろえるときに、いくつか目線が考えられます。
依頼者目線
一つは依頼者目線です。
依頼者の意図に沿わなければ、最初の関門を通過できません。
依頼者の方がどのような方向性で話をしているのか、進めていきたいのかを確認します。
聞き取りをした後にある程度の固定化をこちらでするようにというのも意識をしています。
というのも、依頼をしても全体の雰囲気を決めて個別具体的なところはある程度にしている場合もあるからです。
また、考えていた内容を外に出した場合に、(この場合は私が)受け取る雰囲気が変換されることがあります。
受け取り手の問題もあれば、内容を抽出した場合に異なった雰囲気になるということもあります。
心理学的な要素というべきか。この辺りも考慮しておくと柔軟に対応できます。
読者目線
読者目線の想像を忘れないようにします。
仕事を受けて書く場合に、読者と遠い場合には注意が必要です。
その場合は、必要な人にインタビューを行ったりやり取りをしたりして目線をそろえるようにしています。
読者は供給される側のため、何を求めているか分からないこともありえます。
未知の需要があるという点には注意をしつつ、実態だけでなく予測も加味して書くように努めます。
執筆者目線
税理士という立場上、専門性を期待されて依頼を受けることが多いです。
また、中小企業内の経験もあるので、その経験に沿ってという場合もあります。
その場合に応じてこだわります。
私の場合は、私の意見にこだわるというよりも、専門性に期待されているという場合に、その専門性にこだわるという意図です。文章のチカラはある程度相対的なものだという理解のため、語彙定義をしている場合を除いては、あまり細かな表現で衝突はしないようにします。
言語は奥が深く、また、専門性以外の目線や文章の専門の方の見方もあるため、その間隙きちんと縫って対応するよう努力しています。
基準値に合わせ、少しずらす
これらの3つの目線を合わせつつ、期待通りよりちょっとだけプラスαを目指しています。
特に依頼者に対してです。
状況にもよりますが、依頼者は専門性の点を買って依頼してくれる上で、読者の理解についてもとても求めていることが多いです。
マーケットを把握するというのは、常日頃そこに対応していたとしても、なかなか難しいものです。
ビジネスの目線だったり、私が普段関わる人からの話だったりから得た情報を加えて、読者に対しての目線を依頼者に示せると喜ばれます。いつもいつも明示的にできるわけではないですが、ここがプラスαです。
あまり効きすぎてしまうと依頼者の希望から外れすぎます。おかしな創作物にならないようにも注意しています。
イメージてきには、カレーにチョコレートを入れる、コーヒーを入れる程度で、収まる見えない工夫にしたいです。
途中でずれる場合もある
途中でこれらの目線がずれることがあります。
書いている立場として困る点なので、その雰囲気を感じた際にはきちんと対応して、再度、全体を整える調整をします。
一度書いて形にすることで、考えていたもののたたき台ができあがります。
そのたたき台を見ることで、依頼者の方が方向性を変えることがあります。
家造りでいえば、最初の図面ができあがったときに行くべき方向が合っているかの確認ということです。
戸棚の種類などはいくらでも変えられます。しかし、大規模になると難しいです。
例えば、吹き抜けを作るのであれば、最初から意図しておかないと後から変更できません。
意外と後で大きな方向性が変わっていくプロジェクトもありえます。
どの方も情熱を持って仕事に取り組んでいるので、後々変わるというのも、この情熱によるものだと理解しています。
だからこそ、双方おかしなことにならないように、すり合わせに注意をしています。
コストと時間との都合上を見つつ、気持ちよく進められるよう、日々精進します。