航空輸送でFOBが使えるかどうか考える場合があります。
結論から言えば、使えません。
代わりにFCAを使いましょう。
理由を説明していきます。
船に載せるかどうかの概念に合わない
FOBはFree on Boardです。
本船渡しと日本語訳されます。
船に載せることを前提に作られています。
よって、航空輸送には適さないのです。
インコタームズが規定するのは、費用負担と危険負担です。
費用負担については通関を完了するまでがFOBの条件と大まかにいえます。
だから、航空貨物のFOBといえば、飛行機に積む前で通関を切った状態。
そう考えると使えそうな感じです。
でも、危険負担から考えると難しいです。
この点は次で説明をします。
危険負担の移転場所が不明瞭
FOBの場合の危険負担の移転は、船に載せたときとなります。
もし、航空輸送をすることが前提の貨物にFOBを適用すると、危険負担の点があいまいになります。
ちなみに、「船に載せたときに危険負担が移転」へと変更になっています。
以前は、欄干を超えたときとなっていました。
でも、欄干を超えて貨物が船側に落下するか船の外に落下するかで判定するのは、丁半を占うような微妙さをはらみます。
不明瞭なので、変更となっています。
FCAを使う理由
航空輸送の引き渡しの点がはっきりする
FOBにおいて、船の上に載るというのはちょっとあいまいです。
しかし、FCAを使えば、あなたが輸出者として、貨物をトラック業者に引き渡したり、指定倉庫に納入した時点で輸入者に対する危険負担は移転します。
この、「はっきりする」というところが大切です。
倉庫での被災リスクが輸入者に移る
災害時のリスクということにおいても、引き渡し時に危険負担が移転するのは輸出者から見てよいことです。
阪神大震災辺りであったのは、船に載せる前の貨物が倉庫にある状態で被災したことです。
この場合、FOBであれば輸出者が危険負担を負うべきとなります。
しかし、輸出者から見れば、すでに貨物をトラック業者に引き渡して、海貨業者の倉庫にある状態でしょう。
おおよそのことを済ませてこれ以上履行することはない状態です。
にもかかわらず、責任を負うことになります。
次に行う必要がある事項がないにもかからわずリスクだけが残ることを防ぐことができます。
なお、輸入者は海上保険の特別条項により、被災した貨物の補償を受けることが可能です。
FOBは海上輸送で使おう
以上から、FOBは海上輸送で使用しましょう。
FOBを航空貨物に適用することができそうには見えます。
それは、費用負担の観点からだけ考えるとです。
しかし、危険負担の移転があいまいです。
国際貿易は双方が合意すればある程度あいまいであったり、おかしなインコタームズの利用出会っても輸送可能です。
しかし、これが裁判沙汰になった場合には、はっきりさせておかなければお互い交渉が長引く結果を招きます。
きちんとしたインコタームズを使用するにしましょう。
【編集後記】
とある打ち合わせを持ちました。
一般的に退職などもある時期なので、人事界隈の動きも冬に向けて少し出てきています。
【運動記録】
ジョギング○ ストレッチ○ 筋トレ○ サプリ○
【子育て日記(3歳)】
くつろいでいると、ジャンプの飛び石にされました。
ちょっとずつ高さを上げて鍛えてみています。
つまずいたりもしますが、楽しそうです。