改正民法が施行されてから、取引基本契約書の再締結がそこそこあります。
瑕疵は、契約不適合に置き換えられました。
「隠れた」瑕疵でなくても、契約に適合していなければ請求できるというのが大まかな文言変更のイメージです。
この契約不適合の請求期間もチェックしておきたいところですね。
新任の総務担当者が、営業担当者に「見といてね」と言われた程度を想定して、説明していきます。
契約不適合の請求(原則)
種類か品質において、なにか問題があったときを想定します。
売主は、その問題(不適合)を知った時から1年以内に通知することで、契約の請求ができます。
原文では民法566条です。
下線部分には1年以内の指定が入っています。
民法566条
売主が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない目的物を買主に引き渡した場合において、買主がその不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知しないときは、買主は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。ただし、売主が引渡しの時にその不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったときは、この限りでない。
大まかには、1年以内に請求ができます。
商法526条2項
商法では、商売をしている人のときに、
- 受領後にすぐ検査をすること
- 検査後6ヶ月以内までにその旨の通知をすること
でよいとされます。
民法566条では、「知った日」としてあいまいでしたが、商法では受け取ってすぐに検品するように求めています。
また、検品してから6ヶ月以内に契約不適合の通知ができなければ、請求が制限されます。
これは、商売をしている人はいわばプロなので、こういった制限を設けて売主の債権を早期に安定させることがこの規定の目的です。
原文を見たい方はこちらをどうぞ。
下線もつけております。
- 商法第526条
- 商人間の売買において、買主は、その売買の目的物を受領したときは、遅滞なく、その物を検査しなければならない。
- 前項に規定する場合において、買主は、同項の規定による検査により売買の目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないことを発見したときは、直ちに売主に対してその旨の通知を発しなければ、その不適合を理由とする履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。売買の目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しないことをに直ちに発見することのできない場合において、買主が6ヶ月以内にその不適合を発見したときも、同様とする。
立場によっての有利不利
基本契約書を締結したときの請求の期限は
- 民法の立場から、問題(不適合)を知った時から1年以内を期限とする場合
- 商法の立場から、受領後すぐに検品をして、見つからなくても6ヶ月以内
のどちらかが、一応の選択肢です。
あるいは、どちらも選ばず「検品から2年以内」などと、期限をもっと伸ばしている場合もありえます。
立場によって有利・不利が分かれてきます。
売主なら
契約不適合として請求できる期間が早く終わった方が、商品の補償の安定を早期にできます。
だから、商法の立場(検査後6ヶ月)の方が負担を減らせられます。
買主
契約不適合を見つけた時の請求は長い方が、有利です。
だから、民法の立場(知った時から1年以内)からその保証期限したいと考えるはずでしょう。
立場によっての有利不利
どちらの立場で契約書を読んでいるかによって、商法526条を排除しているのがダメだとする場合であったり、民法の立場を取ろうとするように変わってきます。
法律の意味がわかった上で、あとは交渉や、基本契約書の締結前の見積もり時点の製品保証の期限との関係を上手にまとめましょう。
まとめとして
今回は、契約不適合の請求期間をまとめてみました。
専門用語では、買主の権利の期間制限についてです。
どの立場に立っているかによって、選ぶべき内容が異なってきます。
自社の立場を上手に理解した上で交渉を進めていきましょう。
【編集後記】
とある基準の見直しをしていました。
【運動記録】
ジョギング○ ストレッチ○ 筋トレ○ サプリ○
【子育て日記(3歳)】
フィギュアを使って対決ごっこ。
とにかく元気です。