会社法305条改正 株主が提案する議案の通知書の記載数制限

Mega Hot Latte
会社法改正においてメインともいえる項目の改正、
株主提案権についてまとめます。

改正案は通っていますが、
株主の権利を制限することを会社法は好みません。
株主総会の運営と株主の権利のバランスを
どうにか上手に取ろうという内容でした。

法案段階では、「株主提案権の制限」の名称が
使われていますが、実際は株主が提案することができる
議案の通知書への記載数の制限と理解しましょう。

改正についてまとめてみます。

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もくじ

近年の株主総会における問題

近年の株主総会において議案が多い問題があります。
「野村ホールディングス」を「ヤサイホールディングス」に
変えようであったり、トイレを和式に変更して踏ん張る力を上げようであったり。

取締役会と株主との対立をしている会社もあります。
そういった会社でも、議案が多くだされる傾向にあります。

議案の提案は株主の権利であるため
基本的には制限をしないものなのですが、
あまりにも多いと株主総会の運営に支障をきたします。

制限するにしてもどうやってバランスを取るかが課題でした。

前段として会社法303条・304条・305条

改正を説明する前303条・304条・305条を説明しておきます。

会社法303条は、議題を提案する権利
304条は、議案を提案する権利
305条は、議案を前もって株主総会の招集通知に記載する請求権です。

議題は、議案よりも大きな枠組みの提案です。
議案は細目を決める内容と理解しましょう。

定款変更は、議題に当たります。
誰を取締役に選任するかは、議案に当たります。

そして、議案を前もって通知して株主総会で
議論できるようにしておくのですが、
100個も提案があれば文書に記載して送るのに
コストがかさみます。

仮にコストを許容しても、多くの内容を
期限までにすべて記載して郵送するのは大変なことです。

304条の議案の提案数に制限はありません。
303条は株式保有をある程度していないとできません。
305条にも期限の制限があります。

条文はこうなっていますね。

(株主提案権)
第303条
株主は、取締役に対し、一定の事項(当該株主が議決権を行使することができる事項に限る。次項において同じ。)を株主総会の目的とすることを請求することができる。
2 前項の規定にかかわらず、取締役会設置会社においては、総株主の議決権の百分の一(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権又は三百個(これを下回る数を定款で定めた場合にあっては、その個数)以上の議決権を六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する株主に限り、取締役に対し、一定の事項を株主総会の目的とすることを請求することができる。この場合において、その請求は、株主総会の日の八週間(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前までにしなければならない。
3 公開会社でない取締役会設置会社における前項の規定の適用については、同項中「六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する」とあるのは、「有する」とする。

4 第二項の一定の事項について議決権を行使することができない株主が有する議決権の数は、同項の総株主の議決権の数に算入しない。

第304条
株主は、株主総会において、株主総会の目的である事項(当該株主が議決権を行使することができる事項に限る。次条第一項において同じ。)につき議案を提出することができる。ただし、当該議案が法令若しくは定款に違反する場合又は実質的に同一の議案につき株主総会において総株主(当該議案について議決権を行使することができない株主を除く。)の議決権の十分の一(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の賛成を得られなかった日から三年を経過していない場合は、この限りでない。
第305条
株主は、取締役に対し、株主総会の日の八週間(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前までに、株主総会の目的である事項につき当該株主が提出しようとする議案の要領を株主に通知すること(第二百九十九条第二項又は第三項の通知をする場合にあっては、その通知に記載し、又は記録すること)を請求することができる。ただし、取締役会設置会社においては、総株主の議決権の百分の一(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権又は三百個(これを下回る数を定款で定めた場合にあっては、その個数)以上の議決権を六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する株主に限り、当該請求をすることができる。
2 公開会社でない取締役会設置会社における前項ただし書の規定の適用については、同項ただし書中「六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する」とあるのは、「有する」とする。
3 第一項の株主総会の目的である事項について議決権を行使することができない株主が有する議決権の数は、同項ただし書の総株主の議決権の数に算入しない。
4 前三項の規定は、第一項の議案が法令若しくは定款に違反する場合又は実質的に同一の議案につき株主総会において総株主(当該議案について議決権を行使することができない株主を除く。)の議決権の十分の一(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の賛成を得られなかった日から三年を経過していない場合には、適用しない。

株主の議案の通知請求の制限

バランスを取るために取締役会設置会社について、
会社法305条を制限する案が採用をされました。

具体的な改正ポイントです。

  1. 会社法305条で掲載しなければならない数を10に制限する
  2. 取締役の選任や解任などは複数出ても1と数える
  3. 関連する議案は1つと数える
  4. 優先度合いや10以上を記載するかは取締役が定める

1について、5にするか10にするか議論がありました。
結果10に落ち着きました。

2について、取締役の選任を1人につき1つと数えるとそれだけで
掲載数を超えてしまうため、10人選んでも1つと数えることになりました。

3について、A議案とB議案が両方通らなければ意味をなさない
議案については1つと数えます。
経営方針の変更をして、「廃止」「設定」と両方が
通らなければ意味をなさない場合が例に挙げられるでしょう。

4について、どれを掲載するかどうか、
掲載数を10超にするかも取締役が決められることとなりました。

判例蓄積はこれから

上記の通り決まりましたが、
違反すると総会の議決取消事由になってしまいます。

では、優先度合いを取締役に恣意的に決定されて
掲載されなかったから取消事由に当たるのかという
具体的な内容の適合性はこれからはっきりしていくこととなります。

まだ、釈然としませんが
改正についてはこのようになっています。

参考にしていただければ嬉しいです。

【編集後記】
パソコン変更の際のマクロの調整に時間を取られています。

【運動記録】
ジョギングO ストレッチO 筋トレO サプリO

【一日一新】
メガホットカフェラテ

【子育日記(2歳)】
買ってきたいちごが当たりでした。
私が食べてもとても甘い。

よろこんでパクパク食べていました。

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