2019年12月4日に会社法の改正が参議院を通りましたね。
日本経済新聞の内容です。
政府が今国会の重要法案とした改正会社法は4日午前の参院本会議で可決、成立した。上場企業の社外取締役の設置義務化や、株主総会資料のオンライン提供の導入を柱とする。役員報酬の透明化を図る方策も盛り込まれた。日本の企業統治(コーポレート・ガバナンス)を強化し、海外から投資を呼び込む狙いがある。
改正会社法は与野党の賛成多数で可決、成立した。
改正会社法は商業登記法など計91本の法律を一括で改正する。
新聞では、社外取締役が一つのメイン事項になっています。
それとオンライン情報提供です。
読み手の興味を引くところだからでしょうか。
これらも含めて提出された法律案の特筆するところは、以下の点です。
- 株主総会資料の電子提供措置
- 役員の責任補償・責任保険
- 株式公付
- 社債の管理
今回は、株主総会資料の電子提供措置についてまとめてみます。
1. 電子措置を取る際の定款の定め
今回の会社法改正で、株主総会資料の電子提供が認められました。
個別承認不要で、定款に定めればよい
今までも、電子提供は認められていました。
これまでは、ホームページに掲載することについて個別の承認が必要と規定されていました。
改正により、個別承認がなくても株主総会資料を適法に提供したものとみなしてくれるようになりました。
ただ、実際のところ運用は2−3年後になります。
次回からすぐさま変わるわけではありません。
株主が情報を得ることは株主の権利です。
ホームページに掲載するだけでOKなら、デジタルデバイドが生じて、一部の株主の
権利が制限されるのではない。
それが、改正時の議論でずっと懸念されていた点です。
だからこそ、改正以前のように全員の同意をとって、電子情報提供に切り替えている会社がほとんどなかったのでしょう。
ソフトローの影響
会社法改正ですが、情報提供については金融商品取引法の範ちゅうの毛色が強いです。
学者先生は、現実が適正になるのであれば、会社法であれ金融商品取引法であれ、どちらのアプローチに寄ることもこだわってないようです。
官庁は区割りもあるため、この限りでないことを前提していました。
会社法で混合したような改正になったのは、ちょっとびっくりしました。
ソフトローの影響で、迅速な情報開示を求めています。
費用削減につなげる
会社から見れば、印刷費と郵送費の削減が期待できます。
会社法で最低限に要求されている情報以上に今の送付物はきれいです。
株主に好意を感じてもらうために資料はわかりやすくキレイな工夫をしてるのです。
費用も当然かかるでしょう。
電子提供をするのであれば、これらの費用を減らすことができます。
2. ネット総会への布石
ネット総会は今回直接言及されていません。
しかし、情報の電子提供を可能にしているのは、ネット総会への布石と見ていいでしょう。
物理的に制限されていなければ、総会に参加したい株主も多いはず。
総会に参加するのは、株主の大切な権利です。
参加を後押しするような制度は諸条件をクリアすれば、株主の権利を尊重でき、会社法で歓迎される方向性に至ります。
3. 上場会社は電子提供が義務
この電子提供義務は、上場会社について義務づけられます。
気がついたら、義務付けがされていることになるでしょう。
そして上場会社は、この義務については積極的と判断します。
それは、コーポレートガバナンスが求めているから。
そして、費用削減につながるからです。
4.電子提供義務導入の際議論になった箇所の理解
電子提供義務は情報を早く閲覧したり場所での制限を取りはらえる側面がある一方、公平性や株主の権利侵害をしていないかを検討する意味で下記の点が係争になっていました。
A. 株主だけのもの先にがみんなに公開されていいのか
電子提供をすることで、株主でない人も株主だけに提供される情報を閲覧できるようになってしまいます。
株主に見る権利がある書類をその他の人の目につくところに積極的に置いていいのかは、改正案を考える議論でも数多く挙げられております。
詳細は施行令に譲るかもしれませんね。
B. コーポレートガバナンスコードは投資家のため。株主保護とは話が少し違う
電子提供は情報提供を迅速に行うための規定です。しかし、迅速に情報を提供することを求められたのはコーポレートガバナンスの要請です。
コーポレートガバナンスは、投資家のために設定されてますので、株主保護とは少し話が違うところであります。
導入するからには、内部監査の一部を組み入れておきたいところでしょう。
C. 電子投票も今後の期待
改正案には入っていないが、電子投票への期待が次に来ることも十分考えられます。
すぐに投票ができるような場づくりが便利と考えられるため、この改正議論の際にも論点として出ておりました。
結論には至っていません。
次回の改正で再検討されるでしょう。
D. 総会において、タブレットは会社が用意するのか?
事前資料を紙で送らず電子書類の形式(PDF)などで提供する会社が増えてきていますし、前述の趣旨も紙の資料を廃して迅速性と会社側の費用を下げる観点があります。
さりとて、すべての紙資料をなくすのは現状は無理です。
当日に、欲しいと言われる可能性があるから。
ただ、実際に聞いてみると、そんな分厚い資料を当日もらって持って帰りたい人はほとんどいないと現場の方から聞いています。
紙資料廃止は要請よりも懸念から来ていると理解できます。
そうすると、紙ではなく多量のタブレットを用意する選択肢もあるかもしれません。
ここは費用との兼ね合いですね。
総会の時期がずれて、貸し出しが格安なら考えうる方法です。
ここまで考えると、一部印刷して備え付けておく方が簡便かもしれませんね。
E. データの閲覧期間
海外では、株主への情報提供から総会の開催まで約40日あります。
あまりに早いと、会社側の準備や監査法人の対応が間に合わないという実務上の要請から
最終的にバランスを取る立法となってりました。
今回の改正では、株主総会の三週間前の日又は299条第1項の通知を発した日のいずれか早い日から株主総会の日後三ヶ月を経過する日までの間情報提供をすることとされています。
株主総会後の資料閲覧はどこまで求められるのでしょう。
期間が長すぎるとデータが古くなった状態で共有され、あまり意味がないかもしれません。
意味を見出すのは、訴訟資料データに使用できることでしょうか。
5. 電子提供通知と招集通知の特例
電子提供をする場合は、総会の日の2週間前までにその通知をすることが求められることとなっております。
非公開会社だけれども大手企業の子会社という状態になった際、非公開会社の1週間前までという基準に2週間前になっております。
6. 書面交付請求などへの制限はあるか
書面交付は制限をされておりません。
情報を得ることは株主の権利です。
電子提供が認められたとしても株主の情報へのアクセスについては維持がされております。
7. 電子提供措置の中断
電子提供で問題になるのは、情報提供の中断です。
中断とは改変を含んだ話としております。
中断期間は、全電子提供措置期間の10分の1を超えない範囲で認められます。
懸念として出てくるのは、外部サーバーが落ちてしまうのなどの意図しない中断です。
意図的でなければ会社が重過失がないことを規定するなどして、中断に対する逃げ道は用意されてますが、余計なタネをまかないために、中断は最小限にしたいところです。
まとめとして
大きく変わったこともありますが、改正の趣旨を理解しておくことが、これら規定の
理解に役立つことを書いておきます。
双方から情報提供のストレスを減らそうという考え方も透けて見えます。
【編集後記】
役員の責任補償・責任保険や、株式交付についても速報として、まとめていきたいです。
【運動記録】
ジョギングO ストレッチO 筋トレO サプリO
【一日一新】
プレスバターサンド
【子育日記(2歳)】
帰ると起きてて待ってくれました。
早く寝るようにともいえますが(笑)
でも、少し会えた後には満足したのかすぐに寝たみたいです。