貿易税務の現場から見る関税の基本と実践法

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輸入をするときに気になるのは、関税です。
関税は、輸入する際にかかってくるものです。

安くなる方がいいと考えるでしょうが、通関士の方と話しているとできる限り一意に決めようと調べてくれます。基本的な関税の考え方を見ていきましょう。;

もくじ

関税がかかる基本的な理由

まず、関税はどうしてかかるのでしょう。いくつか理由が考えられます。

外国からの安価な製品が国内市場を乱さないため、つまり国内産業の保護の側面がまずはあります。こんにゃくいもなどはこれで有名です。当然、政府の収入源ともいえます。

貿易のバランス調整、外交政策の一貫、品質と安全の確保という意味合いもあります。比較的日本はWTOルールに基づいて分類をしており、関税追加もWTOの采配を仰ぐような仕組みになっていますので、自国の保護や外交政策の一貫として柔軟には使いにくい側面はあります。

しかし、これは大きな枠組みから見た場合です。
関税がかかっても輸入者自身は嬉しくないでしょう。

在庫商品に関税がかかれば、通常は、その在庫商品の価格を押し上げます。即時費用にもなりません。利益だけで見れば厄介です。

関税は税番で決まる

関税はどう決まるのでしょう。
それは、材質や用途など細かく分類して、H.S.Codeの分類をします。

H.S.Codeは、「ハーモナイズド・システム・コード」の略です。国際的に標準化された商品分類コードのことです。貿易において商品の分類を統一するために使用されます。

HSコードは、世界税関機構(WCO: World Customs Organization)によって管理されており、6桁からなります。日本にはここに、もう3桁加えて番号を形成します。

この番号に従って、関税率が変わってきます。例えば、「腰掛け」の分類で、寝台として兼用できるもの、木製で革張りなら3.8%。これが兼用できるかどうかを問わなければ4.3%です。

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用途がその分類に大きく影響を与えています。

他へ転用できるか

分類においてよく問題になるのが、専用部品かどうかです。
ネジを例にしましょう。

ネジが機械装置と認識されると関税が0%になるケースがあります。しかし、ネジがほかのものにも転用可能な場合には、一般品として見られて分類されます。「7318 : 鉄鋼製のねじ、ボルト、ナット、コーチスクリュー、スクリューフック、リベット、コッター、コッターピン、座金(ばね座金を含む。)その他これらに類する製品」などです。

もっと細かく確認が必要なのですが、この分類にすると仮定すると、基本は3.4%、WTO協定は2.8%です。

転用できる場合は、このように無税にならない場合が多いです。スペアパーツなど部品を輸入する場合に、気をつけなければいけない点です。

どういったプロセスで分類されるかを想定しておきたい

HSコードの分類において、通関士の方はその性質から一意になるよう細心の注意を払います。「関税が安くなるから、こっちに分類して」みたいなことはまかり通りません。(かなり昔の話を聞くと面白話としては存在するのですが。)

それでも、どういう方向性で税番が確認されて、関税が決まるかは想定をして、そもそもの輸入商品を検討すると、余計なコストを抑えられます。決定プロセスは、かなり苦慮した経験があります。

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