貿易取引にインコタームズがあるにもかかわらず、どうしてデジタル取引にはインコタームズがないのでしょうか。
基本的なところからまとめてみます。
デジタル商品と物理的な商品との基本的な違い
デジタル取引は、ソフトウェア、デジタルコンテンツ、オンラインサービスなどの非物理的な商品やサービスの交換を指します。
これらの取引では物理的な形を持つものは移動せず、インターネットを通じて配布されることが一般的です。そのため、物理的な商品を扱う従来の商取引とは根本的に異なり、配送や保管の必要がないため、物流のリスクやコストが関係しません。
国際貿易におけるインコタームズとは?
インコタームズは、国際貿易における貨物のリスク、責任、運送費用の分配を定めるための規則セットです。
これにより、国境を越える物理的な商品の取引が容易になり、バイヤーとセラー間での誤解や紛争のリスクが低減されます。
インコタームズは物流、輸出入許可、関税支払いといった要素に関連しており、主に物理的な商品の取引に適用されます。
簿記などと同様にこれらは慣習法を明文化したものと言われることが多いです。
そして、その取りまとめをパリに本部を置く国際商業会議所(International Chamber of Commerce: ICC)が行っています。最初は、1936年制定です。
なぜデジタル取引にインコタームズは適用されないのか
インコタームズは物理的な商品の輸送とそれに伴うリスク管理を目的としています。
しかし、デジタル取引では物理的な輸送が存在せず、代わりに
- ライセンス契約
- 著作権
- データ保護
- 顧客のプライバシー保護
などが話題の中心となります。
インコタームズが規定するリスク分配や物流の管理とはかなり違いますね。
結果として、インコタームズは、デジタル取引には適用されません。
後付される法律体系
デジタル取引の増加に伴い、新しい法的枠組みとガイドラインの必要性が高まっています。
ただし、これらが決まるのは、かなり先になるんじゃないかと推測されます。
また、デジタル取引を主導している方向性から考えれば、米国に中心があるでしょう。
将来的には、インコタームズがデジタル取引の特性に合わせて進化する可能性があります。
しかし、現時点では、あまり動きが見られません。
インコタームズの危険負担などの実際条項を日本の法律体系に取り入れたのは、「商法及び国際海上物品運送法の一部を改正する法律案」(平成28年10月18日)であり、かなり経ってからです。
この同様の考え方からすれば、仮にデジタル取引にインコタームズが取り入れられたとしても、かなり経ってから日本の法律体系に組み込まれそうです。
こういった前提を持ちつつ、取引内容自体を良く見ていくと面白いでしょう。
【編集後記】
少し雑貨屋めぐりをしました。
気に入る部屋の飾りがあったら、ちょっと仕入れたいなと。
【運動記録】
ストレッチ○
【子育て日記(6歳・3歳)】
上の子の調子が悪いので、休ませつつ、息抜きで外に行きました。