「定額減税」の英訳から見る税法用語の英語選択の解説

税務関係の用語に関して、正式な英訳が決められていないものが多いです。 法務省が外国語翻訳のサービスを1部提供していますが、全てではありません。また、税法は若干特殊な範囲でもあり、他の法律にかけているからといって、 税法の法律として、契約がうまくいっていないと感じるものも多いです。

今回の定額減税の 英訳について見ていきましょう。

もくじ

Flat Rate Income Tax Reduction

Flat Rate Income Tax Reductionは、Bloombergでの翻訳結果です。

Flat とは「一律」といった意味合いです。Flatは結構出てきます。累進課税の反対として、一律課税や均等課税の意味で、Flat Taxという使われ方があります。 税法関係の英語を見ているとFlatは、 よく出てくるものです。

以下の訳でも出てきますが「額」をどう考えるか、正確に訳すかで結果が変わってくる気がします。Rateを使えば、税率自体を一律に減少させることを指すため、実際の定額減税とは意味合いが異なります。しかし、この訳が選ばれているのは、Flat-rateの連語によるものと推測します。

言語学では、Collocationという考え方で、「ある単語が自然に一緒に使われる傾向のある他の単語との組み合わせ」を調査するものがあります。Collocation自体を訳しにくいのですが、「慣用的な語の組み合わせ」または「連語」くらいがイメージしやすいです。人間の頭の中の自然言語の方向性と合っているかを測る方法です。最近では、自然言語処理(NLP)で使われていると考える方が理解し易いかもです。

定額減税も2024年が終われれば話題から消えるでしょうし、暫定訳で素早く伝える訳という理解です。

Fixed-Sum Tax Cut

Fixed-sum tax cutは、2008年の170回国会で、当時の麻生太郎首相が行った答弁の首相官邸の英訳で使われています。

日本語訳を見ても、そのまま「定額減税」です。全納税者が同じ金額の税金削減を受けることを意味します。語彙単体だけ見ると、所得に関係なく全員が一定額の税額控除を受けるという気はします。

次に出てくるFixed-amount tax cutと造語の仕方は同じです。その点は次で説明します。

Fixed-amount tax cut

Fixed-amount tax cutは、 機械翻訳しやすいせいか、新聞社や財務省で使っているようです。読売新聞の英訳財務省の2024年の予算説明で見られます。

amountについて、一つ前のsumを使うよりも、日本人の英語学習感覚に沿っている気がします。その意味で、選ばれていそうです。

Flat-Amount Cut of Personal Income Tax for Withholding Tax

本命の国税庁の訳は、Flat-Amount Cut of Personal Income Tax for Withholding Taxです。税目まできちんと分けて訳したいという専門性を感じさせます。源泉徴収される個人所得税から一定額を控除する制度ということをしっかりと表しています。

が、とにかく長いです。
「長い訳が好きですね」と言いたいです。

一方で、定額減税という単語自体が略されているとも言えます。「定額による所得税額の特別控除」の略が定額減税ですから。これを見ると、特別控除を英訳で検討することになります。また、ややこしいです。英語にするときには、どうしてもIRSの英語の使い方に引っ張られている単語が多いので、今回の内容にDeductionを入れると趣旨から外れてしまいそうです

まとめとして

いずれも「定額減税」の一形態を表していますが、雰囲気は異なります。分かりやすそう、言いやすそうを基本に、最初に定義をしてもらってから伝えるのが適当でしょう。これからしばらくお付き合いする論点でしょうから、お好きな訳があれば、使ってみてください。


【編集後記】
「〇〇+@instagram」など、Google検索で特定のSNSを検索できますね。

【運動記録】
ストレッチ○

【子育て日記(息子7歳0ヶ月、息子3歳6ヶ月)】
小学校に通うのに慣れてきました。どこかに出かけられるのが多くの人にとっては当たり前でも、少しの成長でも見えると嬉しくなります。

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