倫理観の賞味期限という問いの投げかけがあり、
それについて少し考えてみます。
(質問原文では、「倫理感」としていますが、
「倫理観」と同義であるとして、統一しています。)
1.P) ほとんどの倫理観は2世代から3世代くらいで変わっていくんだけど、絶対変わらないものもあるのかな?とか、変わっていくものは何によって変わっていくのかな?とかいろいろ考えるのはホントに楽しい。
問の確定と意図
問自体に丁寧に回答した場合は、一日に書けるブログの量を
遥かに凌駕するだろうと考えます。
そこで、問の確定と、問の意図について最初に
前置きして、質問の方向性を整えることから始めます。
まずは、問の内の語彙をはっきりさせる必要があるでしょう。
「倫理観(倫理)」や、「絶対」、「変わっていく」という
この辺りの単語の定義をはっきりとさせなければ
内容に近づけないというのが正面からの解釈です。
「倫理」や「絶対」は長く考察がされている単語であり、
この2つだけ話しても、途方も無いなぁと。
倫理の定義は少し触れるとしても、
おそらく問自体の意図はこういった細かな意味までを
考慮せずに「固定的に称されている個人の根幹の考え(ここでの倫理観)は
意外なほどに長続きしないけど、原因はなにかな?」という
くらいのものだと理解したつもりです。
論証まではいかずとも、原因を考えるという問には
答えるよう試してみます。
倫理の範囲
答える前に、倫理という語彙が何を指すかを
整理してみます。
倫理(学)は、井上哲次郎氏が明治期の語彙の輸入時に
Ethicsの訳語として当てたものです。
17世紀くらいから日本語の「倫理」との言葉は存在し、
社会の規範の中でのルールの位置づけという側面が
多い単語です。
一方で、Ethicsという意味では、
アリストテレスの辺りでVirtue Ethics(徳の倫理学)として
出てきています。
スピノザのエチカであれば、汎神論の内で
異端とされながらも神と自分との向き合いの上における
関係性が出てきます。日本の「倫理」と比べると幾分か
個人と神との関係に寄っています。
ベンサムの功利主義においても
価値の判断としてEthicsは出てきています。
また、触れると長いのですが
カントにおいて倫理を判断する上での
特別な考えとして「物自体」という概念が出てきます。
このように、いくらでも何かしら細かな議論によることが
できるのですが、語彙の細かな議論は、ちきりんさんの
質問の本質から遠ざかっていく気がします。
「絶対変わらないものがあるか?」という聞き方も
口語では十分なのですが、倫理の話よりも
「絶対(性)」の話により、
「絶対」と「相対」の議論というまた、わけのわからない
方向性に向かう可能性もあります。
だから、語彙をつきつめるのはちょっと違うと判断します。
欲望と実現の拡張が原因
現実では、「自己決定の自由」が個人の幸福追求の
根幹におかれており、科学技術が発展してかなえられる欲望の範囲が広がることで、
XXをしてはいけないという倫理観が変わっていくというのが
ひとつの答えとして、今回提示するものです。
生命倫理でES細胞(胚性幹細胞)を壊すことへの
反対意見が強かった一方で、そういった倫理観を強くは持たない
グループにおいて研究が進み、倫理に反するという話よりも
かなえられる事象が増えたことに力点が置かれて語られることが多くなりました。
技術とはあまり関係ない時代で、
同性愛犯罪および売春に関する委員会で
ジョン・スチュアート・ミルが語ったのは
「個人の行為に社会が規範によって規制を加えることができるのは
それが他人に危害をもたらす場合だけである」ということです。
危害を加えないことにおいては、
倫理は技術的な可能性が広がることにより
無理なく実現できると判断されていくにつれ、
倫理観に反しないという判断に至るのでしょう。
他人に危害を加えることにおいては、
倫理観の境界線がそれ以外よりもゆらぎにくいです。
もう少し場合分けなどの考察ができるでしょうが、
「倫理観は個人の自由、幸福追求においてかなえられる欲望が拡充し、
技術の発展において他人に危害を加えない範囲においては
容易にその内容が変化する」程度はいえるでしょう。
危害を加える場合の考察など
もっと深められるかもしれませんが、
一段階の試作として、まとめてみました。
【編集後記】
虫取りをしていると、赤いイナゴを見つけました。
近くにいた別の子どもが、
「それ、血を吸うで!」と。
そんなイナゴいたかなぁと帰って調べたら、
単に突然変異なだけのようです。
でも、子どもの間でまことしやかに
語られていることってありましたよね。
【運動記録】
ストレッチ○ 筋トレ○
【子育て日記(4歳・0歳)】
虫取りで、ちょうちょやバッタを上の子が
大量に捕まえていました。
私もバンバンとるので、触るのも慣れてきたようです。
上の子の動きがめっちゃ早いので、
狙われた虫がちょっと不憫ですが。。
ちなみに、
「かまたろうは?」
という感じ。
カマキリを捕まえるのが次の目標です。