未来のミライの家の価格と建築家のモデルハウスとしての役割

飾り

未来のミライの中で出てくる家。土地がウナギの寝床と表現されていました。

でも、間口が広いです。車を横付けできています。

直角に入れても3台停まるくらいありますので、9m程度はあります。
ウナギの寝床は、都会では2間半(5.5m)くらいの場合が多いです。

土地の広さと建物の広さで費用がかなりかかるでしょう。

 

土地が安いという監督のコメントはありましたが、傾斜地なので相殺されて結構建築費用が跳ね上がります。共働きでローンを組んでいくレベルですね。

それにしてはお母さんの幸せそうなコメントがあるので所得レベルは結構高いのか、両親等から援助を受けているのかと推測されます。

 

夢のある映画の中の現実的な側面である家の価格と、お父さんの商売からの家の意味を考えてみます。

 

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*レストランの演奏家の飾り by iPhone X

 

もくじ

家の様子とコンセプト

映画を見ると、印象的な家が気になります。こだわった家です。

 

実際の家の平面図と立面はこんな感じ。

https://www.japandesign.ne.jp/wp/wp-content/uploads/2018/08/PLAN.jpg

 

 

当初の映画コンセプトの要望を盛り込むと豪邸になったようです。

あとは、家が映画のすべての舞台になるわけですから、子どもが走り回って楽しい空間にしてほしいということが1番の要望だった気がします。それを造型的にどう応えるか、谷尻さんは随分悩まれたと思うんです。1回進め出してみたら恐ろしい豪邸になっちゃって(笑)。豪邸ではなく、もっと現実的な延床面積でつくっていこうとなり、谷尻さんから2つコンセプトが出てきたうちの1つが段差の家だったんです。

 

 

傾斜地なので土地が安いとおっしゃっています。

傾斜地だからそこまで土地の価格は高くないし、造成していないからその分の値段も抑えられるし、しかも設計がおとうさん本人ですからね。さらにコストダウンできるんじゃないかと。そのうえで延床面積が148㎡あるんですけど、そのぐらい確保できたというのはある種、苦労の表れだと思いますね。

デザイン情報サイト[JDN]
「家」を舞台にした物語『未来のミライ』。細田守監督が映画と展示を通して伝えたいこと - デザイン情報サ... 『時をかける少女』や『サマーウォーズ』などの話題作を世に送り出してきた、細田守監督の最新作『未来のミライ』(スタジオ地図作品)が現在公開中だ。同作は、主人公くん...

 

延べ床が44.7坪というのはかなり広い家ですね。
都会で一般的に豪邸です。

延べ床面積は、たぶん庭の面積が算入されていません。
階段部分あたりから基礎もありますのでコストがかかる感じです。

 

余談ですが、両隣の家がくんちゃんの家の倍の大きさなのでかなり大きいですね。。

デザインについて、色々なコメントがありますが、家は個別性の塊です。
くんちゃん一家が愛着を持って過ごしているので、家に住んでいない人がどうこういう問題ではないです。

コメントするのは、それだけ映画に没頭している人が多かった現れかもしれません。

それに、みなさんが本当に気にしているのは、家の構造ではなくて、家庭の裕福さでしょう。

谷尻さんのコメントも愛着と個別性を建築に現す方法を上手にコメントしております。

家の建築費と土地価格から全体は7000ー8000万レベル

家の建築費

家のデザインは、SUPPOSE DESIGN OFFICE共同代表の谷尻誠さんが手がけているそうです。

コメントで家は4000−5000万円と。

見合う土地があれば、実際にも建てられますよ。材料によりますけれど4000~5000万くらいかな」

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お父さんが設計してますので、通常別にかかる設計費用は今回不要です。

 

庭に面しているサッシの断熱性は高くなさそうなので、費用を抑えている感じはします。

 

兄弟が男女なので、将来的な部屋分けは気になるところです。
ただ、建築家がお父さんであれば、小改造はお手の物かもしれませんね。

 

 

ちなみに、土地自体の間口もそこそこ大きいいい土地なので、傾斜地でもあまり市場にはでなさそうです。

映画なので、細かすぎるツッコミですが。

 

 

土地価格

磯子区にあると仮定すると、坪単価を45万円(2018年推測)。

家の大きさは図面から推察すると、9.450mx24.300m=229.6m=69.4坪

土地は、3123万円となります。

 

土地の諸経費や売買手数料を加味して3100万円くらいで買えるのかはちょっと疑問です。
ローンの諸経費や仲介手数料もありますし。

 

ただ、これ以上高く見積もるとトータルが8000万円レベル。

一般世帯が考える費用感を超えてきます。

映画を成立させる上で、市況感からずれるのはやむを得ないかなと。
現実感を外れるのは細田監督も望んでいないでしょうから妥当な合計金額と考えます。

 

 

ローンを成立させる上での仮定

お父さんが850万円くらいの年収

これくらいの費用感であれば、頭金は1000万円はほしいです。

仮に低い方の7000万円と見込むと頭金を差し引いてローンは6000万円。
年収の7倍程度を借りれるとすると、お父さんの独立前の建築事務所での所得が850万くらいはほしいところです。

ちょっと難しそうな気はします。

 

ただ、建築家の方は実績を積むことが商売につながるため、自宅をある種の商売として無理をしてでも広めていきたいコンセプトの家を建てようとするのは、不思議じゃないです。

 

奥さんが一部上場企業クラスに働いていて、ペアローン

お父さんとお母さんがペアローンをくんでいれば、6000万円のローンも問題なく組めるでしょう。

 

お母さんが、産休・育休を取っていて、単なる事務員でなく出張も行くような感じを見ると、そこそこ福利厚生がよく給与も取っているように推察できます。

上場企業だったりそれに類似する待遇を受けているということです。

 

これならば、お父さんの年収が500万-600万円くらいと仮定してもローンが組めます。

 

祖父母からの援助

ひいおじいちゃんも横浜にいる設定でしたので、相続した土地の上に建てたのかなというのが、映画を見て最初に受けた感覚です。

 

相続した土地でなくても、祖父母が遊びに来ていることから母方の祖父母の援助を受けた上で建築しているのかとも考えられます。

この可能性も結構ありますね。

 

 

くんちゃん家は所得レベルが高いが、家はお父さんのモデルハウスかも

 

いずれにせよ、くんちゃんの家の所得レベルは結構上なのか家計的に裕福な方と結論づけられます。
サザエさんの家が今となってはお金持ちの家になっているようなものでしょうか。

平均的な家の様に振舞っていても実はレベルが高い家なのですね。

 

でも、別の側面から、お父さんが自営業で設計を見せるモデルハウスの役割も果たしていると考えれば、奮発してがんばっているとも言えます。

渡辺篤史さんの建もの探訪を見ると、かなりの割合で建築家さんが出ています。

建築家さんはソフトを売ります。
「何が作れますか?」と言われて作ったものを見せられるのは、営業で最高のプッシュです。

お父さんは、これからの商売がうまくいくよう、モデルハウスの意味合いを持たせているかもしれません。

 

また、洋服が高いものだとか靴が良いものだという批判はそれほど当たらないかなと。
家庭の状況に限らず、子どもに良いものを着せたいと考える人はいます。
おもちゃも、おじいちゃんおばあちゃんが(それまでの)一人っ子用に買ったかもしれません。

人生はメリハリ。

たくさん使っていても、目的に向かって抑えるところを考えて入れば、人は散財しているとは言わないでしょう。

一見 裕福だけの家に見えるかもしれません。
ローンも組めるので、基礎収入が高いでしょう。

でも、こうやって周りを推測すればがんばっていることがわかる家。

未来ちゃん「ほんのささいなことがいくつも積み重なって…、今のわたしたちを形作ってるんだ」
いい言葉ですね。

惹きつける映画の現実的な側面でした。

 

 

【編集後記】
面白い映画でしたが、最初の部分の現実感とお父さんの家事力のなさはデフォルメ気味でしょうか。

女性目線から、お母さんのイライラ度合いの共感は高そうです。
子どもがいる家庭のお父さんお母さんが感情移入しやすい映画でした。

【昨日のはじめて】
未来のミライ

【子どもと昨日】
体力が余っているのか、いつもより寝るのが少し遅めです。
ちょっくら追いかけっこをしました。

ひとしきり遊ぶと少し眠くなったのか横になったので、寝かしつけです。
今日もお疲れさまでした。

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