一品一様の商品は比較がしにくいです。
家電製品の型番が同じ商品であれば、価格が安いか、ポイントがつくか、保証がどうなっているか、などなどを差し引きして価格を比較すれば完了します。
ある意味シンプルな比較です。
これに対して個別提案を比較するときは比較の条件をそろえないと比較がしにくいです。
よく、「コンペ形式で対応する」と言葉は聞きます。しかしコンペを用意する場合、担当者はかなり気を使います。
本当に公平な条件となっているか。前提条件は十分なのか。そして、そのコントロールがどうなっているのか。
「コンペ形式にする」はいうが易し。しかし、身のあるコンペにするにはやりとりをする担当者の力量が試されます。
1. 予算が公平か
「発注金額が決められているか」は、まず大きな論点です。
予算が1500万円なのか2000万円なのか。予算が100万円なのか150万円なのか。
予算が違ければできることが全然違ってきます。
建物であれば、材料使いが全然違います。
壁紙を自然素材にするのか、タイルのグレードをもう1段階上にするのか。
Webページであればページ数を増やせます。
また、ページ数が同じでも、写真や画像・アニメーションのグレードを変えられます。
カメラマンが1度入るのか2度入るのか。写真等の内容によって、同じ構図でも全然感じが変わってきます。
許容予算の幅が狭いほど、比較がしやすいです。
もちろん、こちらは材料がいい、こちらはぺージ数が多いなど、考えて比較もできますが、審査員全員の目線をそろえるのは大変です。
予算幅をそろえる方が比較は断然しやすくなります。
2. 要求の条件提示公平になっているか
「いいものを出してくれ」で比べる場合があります。
しかし、比較しやすいようで比較しにくいです。どんなことを最低限求めているか、をすり合わせしておかなければ、「こちらはよいがこちらは悪い」のようになってしまいます。
コンペをする前に組織内で要求の条件提示が公平になっているかはしっかりと確認するべきです。あるいは、組織内での問題点をあげつらっておくべきです。
要求条件の提示をしっかりとすることで比較がしやすくなります。
3. 前提情報の提供が公平か
予算や要求条件以外に、組織内での前提情報の共有が公平かもポイントです。
今までどのような議論で何が問題になってきたか。誰が問題定義をして、誰に採決権があって仕事が進んでいるのか。
細かな前提情報の提示の量が異なっていると、コンペ参加者の提案の質が大きく異なってしまいます。
なぜなら、今までの問題点がすでに提示されているということは、それに対する答えを用意すれば解決だからです。
今までの問題点が分からなければ、答えを用意する前に問いを用意しなければなりません。しかし、問いは組織によって千差万別。
提案側で作るのは難しいです。
前提条件をそろえることはとても大切です。
情報提供が公平でなければ、結局できレースになる
情報提要の質がコンペ参加者でずれていると、結局のところ比較が困難です。
できレースとして組み上げるのであればそれでも構いません。
しかし、純粋に良いものを出した人を採用しようと考えるときには、できレースでは比べにくい。
できあがりの質がずれてしまい、純粋なその者の提案力ではない比較点が出てきてしまいます。
内容を競わせたいなら公平性が必要であり、担当者の力量も必要
競わせた方が良いものができる。同じ条件の方が競わせやすいです。
だからこそ公平性を担保した上で問いかけをして競わせる必要があります。
そしてこの公平性を持った上でコンペ形式に持っていくのは結構大変です。
経営層が、コンペという響きに惹かれてやらせたいだけの場合もあります。
ただ、前述の通りの条件そろえを用意しようとすると、担当者の労力はかなり大きいです。
そこまで担当者の時間(コスト)をさいて、コンペを開催したいのか。
外部提案もいいのですが、内部提案で練らすために時間をさいた方がいいものができないのか。
コンペは結局一つの過程。過程にこだわり過ぎても良い結論にたどり着けない。こだわるべきは成果でしょう。
担当者は、こういった点を加味した上でコンペにするか決めましょう。
何度かこういった場を用意して対応し、なんとか成果までたどり着いていますが、その都度結構な労力がかかる経験をしています。
反面、価格範囲・要求条件・前提情報提供を上手にそろえれば簡易版のコンペもひらけます。
求めたい質によって、上手にコンペの過程と規模を調整しましょう。
【編集後記】
真の公平性とは何かという考え方。実務ですので、単純に公平さが達成できればいいわけではないでしょうが、どこに目線を持っていくかは悩ましいところです。
【昨日のはじめて】
新ななチキ
【昨日の子育日記】
朝から寄ってきてくれたので、絵本を読みました。
その中で、折り紙の本も持ってきて以前作ったネコさんを指差して、
「これ!」というのが何度か。
結構もみくちゃにされたので、廃棄してしまったネコさん。また、折り紙で作ろうかなと。