副業の労働時間通算が本人の自己申告制になりそうです。
兼業・副業で自己申告制 政府、企業の責任問わず(日経新聞2020/6/16)
政府は16日、未来投資会議を開き、兼業・副業の労働時間の管理について労働者が自己申告する制度を導入する方針を示した。労務管理の手間が生じることが企業が兼業・副業を認めない理由の一つになっている。申告漏れや虚偽申告があっても企業の責任は問わないこととし、解禁に動く企業が増えるよう促す。
働きたい方にとっては都合がいいかも知れませんが、労働者の健康面の保護からは気になるところです。
規制のもともとの背景から少しまとめてみます。
時間通算の法的根拠
「事業場を異にする」場合、つまり別の場所で働く場合に労働時間の制限を設けるかが課題となっていました。
以下の法律をどう解釈するかという点です。
(労基法38条1項)
労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する。
「事業場を異にする」を「A企業のa1事業所とa2事業」と解釈するのか。
「A企業とB企業」も含むと解釈するのかによってその規制が分かれます。
行政解釈は、昭和23年5月14日基発769号によって、「A企業とB企業」も含むとされています。
使いやすくしたい労働現場
労働現場の使用者側からの声は、通算をしたくないというもの。
その方が都合が規制に振り回されずに働かせることができます。
通算してしまうと時間外の残業代が発生する。
健康管理の問題も発生する。
そもそも、変動する副業時間を労働者が適正に正確に申告してくれるのかも問題でした。
病院や介護現場は人が足りませんし、副業での通算を反対する声も聞こえてきました。
政府の案内を見ると、創造的なキャリアや事業へつなげることが強調されていますが、なかなかそこに至る感じはしません。
そもそも今副業をしているのは、儲かっている人(役員クラス)か儲かっていない人(パートを掛け持ちせざるを得ない人)に二分されていて、中間層があまりいないという分析結果があるからです。
副業をふさぐとにっちもさっちもいかない労働者側
少子高齢化で産業構造も変わっていくため、中間層が副業をできないと失業者を増やすことになってしまう。
少しでも仕事ができる状態であれば、片方の企業などを辞めても失業には至らない。
もともと、1社勤めで十分な稼ぎが得られなくなったことが副業の始まりとしている意見もあります。
白黒で規制してしまうと、副業の全てをなしにしてしまい、副業解禁の意味が大きく薄れてしまうため、今回のような自己申告制はある程度うまい折衷案であると考えます。
政策としては間を取ったが、過労の問題は依然として残る
よい折衷案であるのですが、万全ではありません。
労働者側と使用者側では使用者側の意見の方が強いことが多いです。
働いてほしいと使用者側が言った場合に、どこまで労働者が拒否できるのでしょう。
自己申告制ではありますが、その申告受理をしない場合も想定できます。
当然全てが詳らかになれば受理しない側の問題にはなりますが。
といいながら、リモートワークとのあわせ技で内職副業する方も出てきそう。
総じて、自己申告制にするという新しい制度導入は試金石としていいのではないでしょうか。
問題が出やすいので、すぐに対処するという準備はしてほしいところですね。
【編集後記】
粛々と書き進めます。
【運動記録】
ジョギング○ ストレッチ○ 筋トレ○ サプリ○
【一日一新】
とあるカードの申し込み
【子育て日記】
少し遊ばなくなったので片付けておいたおもちゃを見つけて、引っ張り出して遊びました。
慣れているものだけあって、一心不乱で組み立てるのが早い早い。