キャリアの構築は自己責任ととらえられがちですが、キャリア権というものの存在を認識して修正がされる考え方があります。
多様性を認める意味で、面白い考え方なので紹介をします。
キャリア権とは
キャリア権とは、幸福追求の自由、職業選択の自由、教育権などを統合することにより構想されたもので、労働者のキャリアを保障する理念と基準のことです。
基礎となる憲法の規定を列挙しておきます。
幸福追求の自由(憲法13条)
すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。職業選択の自由(憲法22条)
何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。教育権(憲法26条)
すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。
キャリア権があると考えると、労働者の自己責任という考え方だけで無情に切り捨てる考えを緩和できます。
自己責任論が緩和される良さ
キャリア権という考え方を使えば、一方的な配置転換、女性や障害者・高齢者の就労機会均等違反などは、自己責任ということで片付けられません。
経営陣は契約自由の原則から、「対等に」結ばれた契約のためこれらを検討する必要はないと分けた言い方をすることも聞きますが、労働法の強行性はこの「対等に」の部分を修正します。
一定の属性の人を、組織がそうであったから当然に求めることはキャリア権の考え方でも否定できます。
憲法を重視すれば、非合理的な理由(=変更できない属性)によって差別をされることは否定がされますし。
結果として、多様性を認める社会に近づいていきます。
権利は濫用されるもの
理想的な意味では上記の説明で十分なのですが、組織の中では人事配置も必要なわけで労働者側の自由だけが簡単に通るわけではありません。
何かの権利があると規定されれば、その権利を持っている人は限界までその権利を利用します。
ちょうどいいところまで、節度を持って使いましょう、などとはなかなかなりません。
キャリア権があるとしても、実際に使われるときは対話から始まります。
行き着くところに行く前に、しっかりと対話をすることが推奨されています。
多様性と幸福度
日本の幸福度調査が低いと話題になりますが、その理由は他への寛容度が低いからです。
他人の目が厳しい社会なのです。
その良さもあるのでしょうが、一つの指標として寛容度が上がり多様性のある社会になることが、社会の幸福度を上げる道筋かもしれません。
キャリア権も多様性を上げるための一つの考え方かなと。
【編集後記】
CSSの変数が面白いですね。
そのうちどこかで使いたいです。
【運動記録】
ジョギング○ ストレッチ○ 筋トレ○ サプリ○
【一日一新】
とあるお届け物
【子育て日記】
気候がいいせいか、普段よりも長く寝てます。
機嫌を損ねない程度にそっと起こします。