政党が内部留保に課税する
今回の衆議院選挙でも内部留保に課税する政策が出てきております。
①消費税凍結と内部留保の社会還元
消費税増税を凍結し消費の冷え込みを回避する一方、300 兆円もの大企業の内部留保に課税することにより、配当機会を通じた株式市場の活性化、雇用創出、設備投資増加をもたらす。((「希望の党の政策について、より2017/10/18現在 https://kibounotou.jp/policy/ 」))
内部留保と内部留保課税のイメージ
簿記が得意でない人向けのイメージ
「資産と負債は対」「資産と純資産は対」を理解する
負債課税(借入金の残高)課税すると
内部留保課税(純資産の残高)課税すると
企業が現金をそのまま全て持っていない場合払えない
財務諸表(4)の場合で、現金の9,500万円で建物を買った場合を考えます。
この場合の内部留保も同様に1億円持っており、内部留保課税を10%で受けるとすると、企業は1,000万円を支払うことになります。
留保に対しての課税は日本で既に存在する
特定同族会社の特別税率という税があります。「ある企業が1億円の利益を出したが、ためこんで使わなかったら、法人税増やしますよ」という趣旨の税です((同族会社が対象であり、配当をしない場合の上場企業との不均衡を正したり、が主眼のようです。https://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/hojin/kaisei2006/06.pdf))。
特定同族会社の特別税率、は今回の内部留保課税に似ておりませんでしょうか。課税の公平性がありますので、課税していいかはおいておいて、既に似た税があるということです。
「現金持っていないから払えない」に対して
相続税が払えなくて家を売ったという人を聞いたことがありませんでしょうか。
このスタンスで考えれば、国は現金を持っていなくても課税をしてくるということです。資産を処分すれば払えるでしょ、という考えです。
他の税金で現金を持っていなくても課税する場合があれば、今後もそのような税ができても整合性はとれます。
「現金がないから課税するのはおかしい」はおかしい
ですから、現金がないから課税ができない、だから政策理論破綻しているという批判は、あまり的を射ていないものです。
そういった反論は、思ったほどは説得力がないです。
「二重課税だから課税できない」はどこまで正当か
最後に、よくあるのは、二重課税への反対意見です。
法人税が差し引かれた後の資産に対して別の税をかけることは、二重課税になるのではないかということですね。
一理あるという言い方もできますが、そうでもないともいえます。
それは、ガソリンにはいわゆるガソリン税(揮発油税及び地方揮発油税)がかかっています。
また、当然消費税もかかっていますよね。
タバコはどうでしょうか。
タバコ税、地方タバコ税、タバコ特別税がかかっています。
そして、消費税もかかっています。
一方で、所得税と相続税の二重課税に対する判決もありました。
これらは、価値の性質が違ければ複数の課税される可能性があると読むこともできます。
【編集後記】
内部留保に対する課税に賛成・反対ということではありませんが気になったので書いてみました。税の公平性の観点も議論になります。儲けている企業・いない企業にかかわらず税金が増える可能性がありますので、企業の賛成も得にくい税の感じもします。
【昨日 子どもと】
おもちゃのボタンを押すのを教えました。「ボタンを押す」ってことをすぐに理解できるようで、自分でも押してみてます。指の力がないのでそんなにしっかりは押せないのですが。。