税法思考術という名前で本が出ています。
青山学院大学法学部教授の木山先生が書いたものです。
思考術という当初の印象は硬かったのですが、本を開けばやさしいエッセイを意識して書かれていると。
税法はどうしてもバシバシ・ガチガチの議論が多いのです。
柔らかく書いて読めるので、お時間があれば本書はオススメです。
ネタバレしない程度でお伝えいたします。
税法の授業の雰囲気を楽しめる
税法の授業は、(1)一般の理論的なところを学ぶこと。
(2)判例を学ぶこと。
(3)こぼれ話や教員の私見。
この辺りのミックスです。
この本は、(3)こぼれ話や教員の私見部分に焦点を当てて書いているものです。
税法の授業がなくなってしまった大学院2回生向けであったり、シナプスのように税法論理の全体を結び付けられるような内容。
しかも、「エッセイです」と強調する通り、軽めに書いてくれています。
判例論理としてはそうであっても、大学教員という専門家の意見として当然の印象なのかどうか。
教授の意見というのは、やはり面白いです。
いい意味で気楽に読める本になっています。
ユニバーサルミュージック事件
行為計算否認が関係するユニバーサルミュージック事件についてからこの本は始まっています。
行為計算否認はよく出てくる税法の話題。
IBM事件であったりヤフー事件であったりがその系譜。
詳細はおいておいて、面白い判決を知った経緯を書いております。
税法分野の先生が判例を知る経路として「へぇ」と感じました。
出たばかりの件であまり論文も多くなく、今日(2020年6月3日)時点で判例評釈は9つ程度でしょう。
大学のゼミなどではもっとたくさん評釈が作成され発表されているかと推測されますが。
最新の面白い判例例としてよい題材でした。
税法論文を書く場合の思考
税法論文を書く方は以下の3項目が直接的に役に立ちます。
- 12 税法論文を書くための思考
- 13 税法論文の書き方ー文献の集め方(古稀記念論文)
- 14 思考モデルは、二項対立?
税法免除へ行く方は、ほとんどの方が税理士試験を受けています。
税理士試験は答えがあるもの。
あるいは、実務で使えるような論点を羅列したものが答えになりがちです。
税法免除関連の院生の論文を拝見させていただいて、研究論文になっていないのは税理士試験の影響が強いなぁ個人的に感じております。
木山先生としてのコメントが載っておりますので、論文執筆の合間に目を通すと楽しいです。
それと、「手を動かす」ことを強調していたこともお伝えいたします。
書くことは思考の構築ですが、それを形にしていくことを連ねることが大切。
22項辺りに載っております。
ムダの効用
コロナにおいて会うことができなくなったこととムダ省きの有効性への言及があり、示唆に富むものでした。
私見を交えれば、ムダ=しないを突き詰めるのはビジネスの傾向です。
文系大学不要論などもその延長線上にあるのかなと。
そのビジネスも行き詰まりを感じ、アートを取り入れMBA(経営学修士)ならず、MFA(美術学修士)なるものまで出てきています。
ムダだから無用なのかはわからない。
そもそもムダと判断する時点でその個人の判断が入っています。
感染防止は必要であっても、「ムダ=しない」との図式は簡単に成立しないのではないでしょうか。
まとめとして
税法を専攻されている大学院生を中心にアカデミックなこぼれ話に飢えている方はぜひ読んでみましょう。
税法の先生の講義を受けたことがあれば、頭の中で木山先生の授業風景の一部を再現できます。
そういった楽しみ方も可能と感じました。
【編集後記】
優秀な方がたくさんいると感じますね。
【運動記録】
ジョギング○ ストレッチ○ 筋トレ○ サプリ○
【一日一新】
夜の散歩しかけ
【子育て日記】
夜に外に散歩に行くと言い出しました。
家の中が明るいせいかもしれません。
とりあえず、一緒に外に行って、外がちゃんと暗いことを見せることに。
納得したようで、その後部屋の中で遊びました。