コロナ禍は、学問領域にも大きな影響を与えます。
研究を邪魔するという影響だけでなく、研究領域を広げる効用も考えられるでしょう。
コロナ禍と租税法については、コロナ禍を抜けているわけでもなく渦中なわけで、まだまだこれからの分野と考えます。
ちょうど、2021年3月「図解・租税法ノート(13版)」が出ていますが、こちらでコロナ禍と税務調査のコラムがありました。
こういったコラムは、税法研究を考える方のヒントになる可能性もあります。
本書は、租税法はどうしても説明が入り組んでくるので長いのですが、比較的小さなまとまりにわけて読みやすくしている書籍です。
導入部分にも司法試験、CPA試験、税理士試験、宅建試験を意識して記載をしていることが書かれています。
また、六法などに税法が記載されていないことを念頭に法令が巻末に載っているので追いやすい人もいるでしょう。
コラム部分だけでも気になる方は手に取ると面白いです。
見やすいのとコンパクトにまとまっている
「図解」とあるように、さらっと読みやすい形にしてくれています。
表にしてまとめてくれているところも多いので、見やすいと感じる初学者の方もいるでしょう。
慣れた方であれば、知識の整理にも使えます。
頻出の判例を枠で囲って抑えてくれていますので。
また、枠だけでなく、コラム部分を読むのに手にとっても面白いです。
例えば、コラムでは租税回避の防止規定と国税通則法についてコメントしております。
租税回避の否認をする法律について「抽象的、一般的」と批判し法的安定性と予測可能性を与えるべきという意見と、国税通則法の改定議論などは、興味を持つ人も多いでしょう。
コラムなので短いですが、税法会で議論されている内容に触れるのにちょうどいいです。
本題のコロナ禍と学問
全般の話題
コロナ禍と学問については一部の領域で、新しい領域を見つける可能性が十分あります。
全般分野で、知人と話していて面白そうだったのは、心理学です。
孤独や隔離がされた状態で、心理的にどういった影響があるかなどの探求が考えられます。
まだ、渦中なので客観視できず、少し先端的で扱いにくいかもしれませんが、面白さがあるかなと。
過去の事例をコロナ禍に当てはめられるか
過去の事例を使ってどこまでコロナ禍での対応ができるかという探求が始まっています。
一端を紹介すれば、労働法分野において、「在宅勤務を拒否することは可能か」という問があります。
当初の労働契約で結ばれていないことが多いでしょう。
在宅勤務を異動の一種と考えて本人同意がなく認められるとする立場と、契約関係をはっきりさせたものではないので拒否できるとする立場があります。
今までの労働法の解釈において積み重ねられた議論を前提にして、コロナ禍における新しい事象を話しています。
コロナ禍における税務調査
租税法においては、税務調査をどう扱うかという点で影響がみられることが、本書のコラム4(P.60)で書かれています。
コロナ禍において「事前通知を要しない場合」の適用がしにくくなることや、「提出物件の留置き」の適用などの論点が挙げられています。
租税法の修士論文などでの題材を使う場合には、事実解釈と法律というよりも、法律内の解釈まで話を昇華できると、論文の深みがでるでしょう。
本書は一般向けにわかりやすく該当点を提供してくれています。
修士論文レベルで検討をする方で題材にしたい方は、これを足がかりにもう少し深めていくとなにかが見つかる可能性があります。
おまけの無料 税法ゼミナール
なお、八ツ尾先生は、Zoomによる税法ゼミナールを開講予定と本書に載っています。
Twitterでも宣伝をされているので、興味がある方はご参加いただくと面白いのかなと。
【編集後記】
緊急事態宣言が出そうなので、その対応シミュレーションを進めています。
【運動記録】
ストレッチ○ 筋トレ○ サプリ○
【子育て日記(3歳・0歳)】
下の子が寝返りをうてるようになりました。
「あれ、できた!」みたいな顔をしながら、しれっと寝返りをして、
その後は、試すように行ったり来たり。
できるようになるって、こんな感じなのかなと教えてくれました。